2019年6月5日

第140回 東京理科大学 工学部機械工学科 小林宏教授

東京理科大学 工学部機械工学科 小林宏教授

小林教授のプロフィール

1966年生まれ。
1995年、東京理科大学工学研究科機械工学専攻博士課程修了。
1996年~1998年、日本学術振興会海外特別研究員としてチューリッヒ大学計算機科学科に留学。
帰国後、1998年に、東京理科大学工学部の講師になり、1999年に、助教授に。
2008年から、教授となり、現在に至る。(小林教授のご専門は、知能機械学、福祉工学、画像処理、ロボティクス、メカトロニクス)

これまでの研究には、顔表情の認識に関する研究、顔表情ロボットの開発、ロボットのコミュニケーション知能に関する研究、マッスルスーツに関する研究、アクティブ歩行器に関する研究などがある。

小林教授は、ユニークな研究に取り組んでおり、企業に負けないコンセプトや技術力をもち、複数の企業と製品化、実用化のための共同研究や開発を推進している。特に、人の筋肉の力を補強することで、作業を楽にする装置型の動作補助装置「マッスルスーツ」は、小林教授の研究室が、独自に開発・実用化したもので、この「マッスルスーツ」を事業化・販売するために、東京理科大学発ベンチャー「株式会社イノフィス」を創業した。

「マッスルスーツ」の開発では、2015年、第13回 産学官連携功労者表彰で、日本経済団体連合会会長賞を内閣府より、受賞。2018年、「腰補助マッスルスーツ スタンドアローン」が、世界発信コンペティション 東京都ベンチャー技術奨励賞、また、アメリカのレッドへリング社の、世界で最も革新的なベンチャー企業100社「Global Winner」に選ばれるなど、様々な賞を受賞している。

 

チューリッヒ大学への留学

小林さんは、現在、母校である、東京理科大学で、教授をされていらっしゃいますが、1996年から1998年の2年間は、チューリッヒ大学に留学し、人工知能研究所にいらっしゃったとのこと。言語を抜いて、人間同士のコミュニケーションに必要なのは、55%が表情なのだと、実際の研究結果が出ていたこともあり、当時の小林さんは、表情の自動認識や表情を出すロボットを研究し、人工知能を極めたいという思っていたそうです。

人間のような知能を持つロボットを作りたいと思っていた小林さんですが、留学して1か月で、自分が生きている間に、それを実現するのは難しいと感じたとのこと。(ちなみに、小林さん曰く、現代の人工知能と、30年前の人工知能は、まったく変わってはいないそうです。結局、今も昔も、人工知能は自我をもつことができないため、進んでいるとは言えないとのこと。今後、基本的なコンピューターのアーキテクチャ(計算の仕方)が変わらない限り、進歩することはないそうです。)

こうして、小林さんは、留学中に、科学的なことを学びながら、自分がやりたいことは何かをあらためて考えたそうです。そして、エンジニアとして、人の役に立つものを作りたいと強く思うようになり、帰国後は、それに集中しようと決意したそうです。

 

マッスルスーツのアイディアが生まれるまで。

まず、最初に、小林さんが、生きていくうえで、一番嫌なことは何かを考えたとのこと。小林さんにとって嫌なこととは、『自立ができなくなること』で、誰かの助けがないと生きていけないことが、一番嫌なことだと思ったそうです。そこから、小林さんは、「だったら、(体を補助する装置)つけて、自由に動けるようなものを作ろう」と考え、マッスルスーツのアイディアに至ったそうです。現在、マッスルスーツは、腰の補助がメイン。介護や、農業、建設業など、あらゆる肉体労働の現場で活躍しています。

 

マッスルスーツの仕組み

マッスルスーツはモーターを使わず、人口筋肉を使っているとのこと。モーターは、力を大きくすると、固く、大きく、重くなるため、柔らかく適当な動きをする人間とは、違うものになってしまうとのこと。それに対して、人工筋肉は、軽く、柔らかく、だけど、力は強いとのこと。(具体的には、マッスルスーツの場合だと、1本(120グラム)で5気圧の圧縮空気で、250キロぐらい引っ張る力があるそうです。)また、人間の筋肉の仕組みに近いため、人口筋肉と呼ばれているそうです。

来週は、マッスルスーツについて、更に詳しくお伺いします。お楽しみに!

 

小林さんのインタビュー。そして、これまでのレジェンドエンジニアのインタビューフルバージョンは、セントラルエンジニアリング株式会社のオフィシャルサイトから「レジェンドエンジニアの声」で、お聴きいただけます。
https://www.central-eng.co.jp/
https://www.central-eng.co.jp/legendengineers

 

by vivi

投稿者 : alabo|2019年6月5日

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