2019年9月25日

第156回 ソニー・ミュージックスタジオ 鈴木浩二さん 堀内寿哉さん

3か月おきにテーマに沿って、番組をお届けしているA-LABO INDEXですが、
今回のテーマは、「アーティスト/表現者たち」。

そして、初回となる今週のテーマは、「アートな音の匠」。
特に、アナログ盤、レコード盤にスポットを当ててお届けします。

レジェンド・エンジニアは、ソニー・ミュージックスタジオ 鈴木浩二さん 堀内寿哉さん

ソニー・ミュージックスタジオ

チーフプロデューサー レコーディング&マスタリングエンジニア 鈴木浩二さん(右)
マスタリング&カッティングエンジニア 堀内寿哉さん(中央)

鈴木さんのプロフィール
1962年、神奈川県生まれ。1985年、CBS・ソニー入社。ソニーミュージック信農町スタジオでレコーディングエンジニアとして、10年のキャリアを積んだ後、マスタリングエンジニアとしてのキャリアもスタートさせる。これまでにレコーディングエンジニアとしては、数々の名盤レコーディングを手掛け、特にジャズ、クラシックなど、アコースティックを中心とした作品で高い評価を得ている。新譜のマスタリングから旧譜のリマスタリングまで、数多くの作品を手掛け、近年では松田聖子や尾崎豊などのハイレゾリマスタリングでも注目を集めている。

現・ソニー・ミュージック ソリューションズ パッケージソリューションカンパニー  ソニー・ミュージックスタジオ チーフプロデューサー レコーディング&マスタリングエンジニア レコーディング・ルーム、マスタリング・ルーム課長を務め、現在は、クラシックのホール録音やジャズ、ミュージカル等のレコーディングから、マスタリングまで、マルチで行っており、「日本プロ音楽録音賞」では、多くの作品で受賞している。

堀内さんのプロフィール
1968年生まれ。幼少時代から音楽に触れ、大学在学中に「エンジニアになりたい」と漠然と思い、ソニーミュージック信濃町スタジオに飛び込みで押しかけ、採用されたとのこと。大学在学中に、飛び込みでアルバイトとしてキャリアをスタートさせ、その後、手腕を認められて、マスタリングエンジニアに。流行に流されない、解像度が高くダイナミクスに溢れるマスタリングに定評があり、ゲームミュージックからジャズ、ロック、ポップス、クラブミュージックまで、幅広いジャンルの作品を手掛けている。2000年代初頭に、ソニー・ミュージックグループが、過去のマスターテープのデジタルアーカイブを始めた際には、アーカイブ・ルームに異動。マスターアーカイブの基礎を固めることに尽力した。その後、マスタリング・ルームに復帰し、アーカイブで得たマスターに関する知識と技術で現在のマスタリングを支えてきた。そして、2017年のカッティング・ルーム新設に合わせて、カッティングエンジニアとしてのキャリアもスタートさせた。

お二人の共通のお仕事であるマスタリングエンジニアとは、どのようなお仕事なのか、鈴木さんのお話を踏まえて、少しご紹介。

☆マスタリングエンジニアとは。

発売される商品メディア(CDなど)に合わせた音作りをすること(レコーディングされた音源をCDに合わせたフォーマットに調整するということ)をマスタリングといい、その作業を行う人がマスタリングエンジニア。また、レコーディングされた音源は、録音した人や機材によって音圧・音量・音質が異なるため、それを一つのCDにまとめることもお仕事の一つ。マスタリングによって、そのCDで表現される物語の起承転結が決まっていくので、アーティストの想いを伝えるためは、大切な作業になります。そのため、アーティストからイメージを聞くそうですが、それは抽象的なオーダーが多く、例えば、鈴木さんは「地球が響くような、唸るような感じにしてほしい」と言われたこともあるそうです。こうした抽象的なオーダーを数字に変えて表現していくのがマスタリングエンジニアのお仕事とのこと。

今回、ご出演をお願いしたのは、「アナログ盤」の見直しがあげられます。実際、これまで、海外のある場所でしかアナログ盤は制作していなかったのですが、
アナログ盤人気に押される形で、ソニーミュージックグループは、昨年、自社一貫性アナログレコードを、29年ぶりにリリースしました。
そんな背景もあり、話は、アナログ盤、レコード盤に。

まずは、堀内さんのお仕事でもある『カッティングエンジニア』についてのお話から。

☆カッティングエンジニアとは。
カッティングとは、レコードの元になる『ラッカー盤』を制作する作業のことで、これを行うのがカッティングエンジニア。ちなみに、堀内さんが、カッティングエンジニアになったのは、ソニー・ミュージックスタジオに、カッティングレース(レコード原盤を切り込む装置)を導入するとき、やってみないかと声を掛けられたことがきっかけで、興味を持ち、やることを決めたからなのだとか。

次に、レコード盤ができるまでを、簡単にご紹介。

レコード盤は、このカッティングと言われる『ラッカー盤』(原盤)を作る作業がスタジオで行われた後、工場へ送られ、メッキ工程(その原盤にメッキをかけて、レコードを作るためのスタンパーを作る)を行い、プレス工程を経て、レコードが出来上がります。

ソニーミュージックグループが、昨年、29年ぶりにリリースした、自社一貫性アナログレコード第一弾は、ビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」と、大瀧詠一作品集Vol.3の「夢で逢えたら」でした。実は、この2作が選ばれた理由は、1982年に初めてCDとしてリリースされた作品だったからとのこと。もちろん、当時大ヒットしたビックタイトルの2作なので周りの持っている印象を大切にし、さらに今できる技術と音質を提供するという面では苦労したことも多かったそうです。当時の初回のレコードを聴いたりリマスタリングされたCDを聴いたりし、変化を理解しながらどこに落とし込もうかということを鈴木さんと堀内さんは二人で試行錯誤しながら詰めていったのだとか。

今週のラストは、アナログ盤、レコード盤の魅力について。

アナログは、聴く段階で、まず、レコードを置いて、針を置く、そこから少し待って音が再生。A面が終わったらひっくり返してB面を再生。この一連の所作をすることで、より音楽に集中することができるということが、魅力であるとのこと。今の時代は、スイッチを押すだけで、気軽で簡単に音を出すことができます。これはメリットでもありますが、やはり、手間を掛けるからこそ、その空間や時間を作り出すことができるのだと、堀内さんは考えているそうです。

また、レコードには、レコードならではのこだわりがあります。例えば、レコードの内周は音圧に弱いため、歪み率が上がるとのこと。そのため、内周にいくほど、優しい静かな音源を入れるのが定番なのだとか。こうした、特徴も考えながら、レコードの中の物語は作られているそうです。

次回は、アナログ盤が出来上がっていくお話をお伺いします。お楽しみに!

鈴木さんと堀内さんのインタビュー。そして、これまでのレジェンドエンジニアのインタビューフルバージョンは、セントラルエンジニアリング株式会社のオフィシャルサイトから「レジェンドエンジニアの声」で、お聴きいただけます。
https://www.central-eng.co.jp/
https://www.central-eng.co.jp/legendengineers

by vivi

投稿者 : alabo|2019年9月25日

2019年9月18日

第155回 神奈川工科大学 教授 一色正男さん

7月~9月は、「未来の〇〇」をテーマにお届けしているA-LABO INDEX。
今週のテーマは、前回に引き続き、「未来の家」。

レジェンドエンジニアとして、お話をお伺いするのは、神奈川工科大学 創造工学部 ホームエレクトロニクス開発学科 スマートハウス研究センター所長 一色正男先生です。

 

写真は、松風さんと一色先生

スマートハウスを広げるために、必要な通信仕様『ECHONET Lite』。先週は、この『ECHONET Lite』について大きくお聞きしましたが、今週は、更に詳しくお伺いしました。

☆『ECHONET Lite』について
通信プロトコルの名称。プロトコルとはコンピューター同士の通信をする際の手順や規約のこと。つまり、家電や設備機器を繋ぐ通信仕様のこと。この『ECHONET Lite』は、国際規格になっていて世界中で使うことができ、現在、日本のほとんどの家電が、この規格で動かせるそうです。そして、この規格は、オープンであるため、ベンチャー企業が参入しやすいということも良い点。大手企業とベンチャー企業が協力し、たくさんの人が求めるニーズと特定の人が求めるニーズをうまく埋め込んでいけば、小さなビジネスがたくさん回っていくことが期待できるとのこと。新しい世界に新しい仕事が出てくることが大事で日本中が元気になれば成功である、と一色先生は考えているそうです。

家電と設備機器メーカーの製品が全て標準コマンドで動くようにするためには、電力会社やたくさんのメーカーの統一が不可欠となります。そこで、出来上がったのが『HEMS』という管理システムです。

番組の後半は、この『HEMS』のお話。

☆HEMSとは
「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムのこと。太陽光パネルでエネルギーを集め、余ったエネルギーを蓄電池に溜めておくこともできます。また、このシステムの中に、電気自動車も組み込むこともできるのだとか。家庭の様々な電気機器を自分で管理することが可能となるそうです。

非常時用の電池になることや、一括管理することで省エネにつながることから、現在、政府は2030年までにすべての家庭に『HEMS』をつけることを目指しているそう。そして、家がネットワークの世界に入っていくことで住宅一軒だけの話ではなく、地域や町で役に立ったりと、大きな社会的な流れを作り、より豊かな生活と緊急時にも幸せな生活ができる未来が期待されています。こうした技術によって、人は繋がり、大家族のようになっていく、技術が人を幸せにするといいと一色先生は思っているそうです。

番組のラストは、一色先生へのご質問。

☆これからのものづくりに必要なことについて。

「『人を幸せにする技術』を考えてほしい。あとは世界がいずれこうなるだろうという見通しに対して、正しい方向を向かなくてはいけない(技術者として、嘘はつけない)と思うので、若い人は自分が思う正しいと思った世界はきっちり押さえて生きてほしい。それが人を幸せにするし、世界を変えるかもしれない。」とのこと。

☆今後の、夢、展望について。

このスマートハウスが世界に広がっていくことやスマートハウスを通じて人と人が繋がっていく未来をつくることが、今後の夢であり展望。そして、それは、素敵な世界をつくることや、人の『幸せ』を大事にしたいという一色先生の強い想いに繋がっています。

☆『ものづくり』で大切にされていることについて。

ハードウェアを考えなくてはいけないということ。つまり、手で触る触覚がものづくりで一番大事なことだと、考えているそうです。

まだ先のようで近い未来のお話。スマートハウスが作る未来の生活が、楽しみですね!

最後は、若き、エンジニアへ、一色先生からのアドバイス。

“4つのHを提供したい。
1つ目は、Hard:物の形を大事にソフトウェア開発をやってほしい。
2つ目は、Humor:楽しく素敵に思うこと。面白くないと始まらない。
3つ目は、Horizontal:人生にはいろんな道がある。ぶつかっても水平思考で横を見て違う道を探して欲しい。必ず道がある。
4つ目は、Hope:思いを持つ。思いがないといい仕事はできない。お前の思いが大事。若者、ちゃんと思いをもって。”

一色さんのインタビュー。そして、これまでのレジェンドエンジニアのインタビューフルバージョンは、セントラルエンジニアリング株式会社のオフィシャルサイトから「レジェンドエンジニアの声」で、お聴きいただけます。
https://www.central-eng.co.jp/

https://www.central-eng.co.jp/legendengineers

by vivi

投稿者 : alabo|2019年9月18日

2019年9月11日

第154回 神奈川工科大学 教授 一色正男さん

7月~9月は、「未来の〇〇」をテーマにお届けしているA-LABO INDEX。
今週のテーマは、「未来の家」。

レジェンド・エンジニアは、神奈川工科大学 教授 一色正男先生

神奈川工科大学 創造工学部 ホームエレクトロニクス開発学科
スマートハウス研究センター所長 一色正男先生

一色先生のプロフィール

1982年、東京工業大学理工学研究科修士卒業。1999年には東京農工大学大学院工学部博士後期課程修了。社会人スタートは、東芝の富士工場で、家電技術研究所、研究所所員として騒音振動の低減技術者として勤務し、多くの製品化と特許化を取得、設計技術者を支援された。その後、本社に転勤し、40歳の時に、企業人ドクターとしての博士課程に入り、博士号を取得。そして、世界初の東芝スマートハウスサービスの事業を立ち上げ、社会人30年目に慶應大学特任教授へと転身、2009年1月から2015年3月まで務め、2012年からは神奈川工科大学教授に着任されている。

現在は、神奈川工科大学 創造工学部 ホームエレクトロニクス開発学科 教授、スマートハウス研究センター所長。その他、情報処理学会会員、シニア会員、CDS研究会幹事、ほか、機械学会会員、ECHONET(エコーネット)コンソーシアム2008 運営委員長などを経て、現在フェロー。また、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム、HEMS(ホーム エネルギー マネージメント システム)認証支援センター長でもあります。

 

☆一色先生の『人生の転機』について

エンジニアとして活躍をされた後、大学教授となった一色先生ですが、今に至るまでの『人生の転機』となった出来事について、お話をお伺いしました。

【その1】大学3年生の時に留年!(少し恥ずかしそうにお話なさっていました・・・)

第二外国語(フランス語)の単位を落とし、留年になってしまったとのこと。とてもショックを受け、勉強が必要だと思い、大学院を受けるため、人生初めて勉強をされたそうです。ちなみに、最初の大学入試は、エスカレーター式だったため、ほとんど勉強をせずに入学ができたとのこと。

【その2】会社に勤めて、10年たった時に企業人ドクターとして博士号を取得!

エンジニアとして、約15年ほど働かれていた一色先生。東芝の富士工場で、騒音振動の低減技術者勤務されていたとのこと。具体的には、エアコンの室外機、室内機の騒音を下げる技術をやっていたそうです。

【その3】52歳の時、会社を辞めて、新しい仕事を始める。第二の人生、大学へ!

一色先生は、神奈川工科大学のホームエレクトロニクス開発学科で教授をされていますが、この学科は、世界に一つしかない『家電』。家電の技術者だった経験からこの学科の教授になってほしいと言われて教授になったそうです。

☆スマートハウスのお話

一色先生は神奈川工科大学のホームエレクトロニクス開発学科の教授であると同時にスマートハウス研究センター所長でもあります。(もともと、東芝で働いている時から、スマートハウスの事業化をされていた)。様々な定義があるスマートハウスですが、現在、スマートハウスと呼べる日本の住宅は1%ぐらい。そして、今後、もっと広めていくためには、たくさんの課題があるとのこと。その一つがスマートハウスの『標準化』。いろいろなメーカーが自社のものだけを詰め込むのではなく共通にしていかないとネットワークは成り立たない、ネットワークは繋がることで、初めて価値がでるもの。ビジネスとして、こういった課題は、日本はあまり得意な領域ではないそうですが『共通の基盤』がないとみんなが困ると一色先生は考えています。そこで、一色先生たちは、共通の規格として、家電や設備機器にしっかり通信でき、IPベースで動く規格を探し、日本のメーカー約300社で話し合って、数ある規格の中から、『ECHONET Lite』を利用することを決めたそうです。ちなみに『ECHONET Lite』は、主に、現在、アジアで使われているものなんです。

『ECHONET Lite』について、更に詳しいお話は、また次回。お楽しみに!

 

一色さんのインタビュー。そして、これまでのレジェンドエンジニアのインタビューフルバージョンは、セントラルエンジニアリング株式会社のオフィシャルサイトから「レジェンドエンジニアの声」で、お聴きいただけます。
https://www.central-eng.co.jp/
https://www.central-eng.co.jp/legendengineers

by vivi

投稿者 : alabo|2019年9月11日

2019年9月4日

第153回 ソースネクスト株式会社 代表取締役社長 松田憲幸さん

7月~9月は、「未来の〇〇」をテーマにお届けしているA-LABO INDEX。
今週のテーマは、前回に引き続き、「未来のコミュニケーション」。

レジェンドエンジニアとして、お話をお伺いするのは、ソースネクスト株式会社 代表取締役社長 松田憲幸さんです。

写真は、松風さんと松田さん

様々なソフトウェアを開発してきたソースネクスト株式会社。今週は、最新作である「ポケトーク」について、詳しくお話をお伺いしました。

☆「ポケトーク」

ポケトークは、世界74言語に対応した携帯できるAI通訳機。2017年12月に販売され、現在、50万台の出荷を突破されたとのこと。発売にあたって、松田さんが重視したことは、値段と翻訳の精度、そして、商品の買いやすさ。手間の掛かる契約などがなく、一度きりの支払いで使うことができるため、商品を購入するハードルが下がり、誰もが気軽に買い求めることが出来るとのこと。また、Wi-Fiがなくても使えるのだとか。また、翻訳のスピードも速いため、スムーズなコミュニケーションを実現することも。

現在、海外から日本へ来る人の数は、年々増加しています。2020年には、東京オリンピックの開催も。これからの広がりに大注目です!

価格や、製品の詳しい情報は、HPで。ぜひチェックしてみてください!

ポケトークのHP → https://pocketalk.jp/?i=pwt_gnav

最後は、若き、エンジニアへ、松田さんからのアドバイス。

“いろんな今、会社に勤めている方がいらっしゃると思うんですけど、その会社の看板で食べてるとやはり難しいなと。私の場合、IBMだからとなると、IBMの松田になる。IBMから離れられないわけですよね。エンジニアっていうのは一人でも食べていける職業ですので、自分の名前で勝負できるというのを目指すと良いんじゃないかなと思います。”

松田さんのインタビュー。そして、これまでのレジェンドエンジニアのインタビューフルバージョンは、セントラルエンジニアリング株式会社のオフィシャルサイトから「レジェンドエンジニアの声」で、お聴きいただけます。
https://www.central-eng.co.jp/

https://www.central-eng.co.jp/legendengineers

by vivi

投稿者 : alabo|2019年9月4日