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2015年10月19日

#28 10月16日放送分

今回のテーマは、

「合意形成の視点から考えるオリンピック・パラリンピック・エンブレム問題!」でした!

 

「国民の理解が得られない」

「国民の理解が得られない」という言葉、今年は多く耳にしているのではないでしょうか?

集団的自衛権の行使を認める「安保法制」や、来年1月からスタートする

「マイナンバー制度」など、成立した法案も、本当に国民の理解が得られていたかどうかが、

最後まで問われていました。

 

そして、「国民の理解が得られない」として、白紙撤回されたのが、

東京オリンピック・パラリンピックの「エンブレム問題」です。

 

著名なデザイナーによる盗作疑惑と、その選考過程が不透明ということで

一度決定したデザインが取り下げられました。

「国民の理解が得られる」選考方法というのはあるんでしょうか?

 

「合意形成」とは?

 皆さんは、「合意形成」という言葉を知っていますでしょうか?

「合意」というのは、“お互いの意思が一致”するという意味があります。

 

プロセスデザイン研究所によると、「合意形成」とは、

「みんなでいろいろな意見を出し合いながら解決策を生み出す協働の創造活動」のことだそうです。

 

オリンピックのエンブレム問題は、この「合意形成」という丁寧なプロセスや

情報公開がきちんと行われていなかったのではと指摘されています。

 

単なる賛成、反対を主張し合うものではない!

 「合意形成」とは、字の如く、意見を合わせて、形を成していくということで、

多数決で物事を決めたり、対立する意見の調整とは違います。

 

単に、“賛成”、“反対”を主張し合うのではなく、その背景、裏側にある

真の“利害”や“関心”を浮かび上がらせ、それらを満たす提案をしていくことです。

 

“公共事業”や“まちづくり”は、「社会的合意形成」

国や地方自治体の“公共政策”や“公共事業”、住んでいる地域の“まちづくり”など

何かのプロジェクトを、より創造的な方向にうまく前に進めるためには

今やこの「合意形成」が必要不可欠となっています。

そうした場合は、「社会的合意形成」と呼ばれています。

 

ということで、今回は

「“合意形成”の視点から考える、オリンピック・エンブレム問題!

国民の理解を得られる選考方法はあると思いますか?

あなたは職場や地域、仲間内で意見が対立したときにどうしていますか?」

リスナーに質問を投げかけ、“座談会”していきました。

 

小島さんは“イタリアン”衛藤さんは“居酒屋”がいい!?

「合意形成」を身近なことで考えてみました。

「金つぶ」の放送終わりで、出演者&スタッフで打ち上げに行くことになりました。

メンバーは、小島さん、衛藤さん、入江くん、ADのマスターです。

しかし、なかなか行くお店が決まりません。

 

というのも…

小島「駅前のイタリアンがいい!」

衛藤「居酒屋がいいなぁ」

入江「馴染みの高級寿司屋に行きたい!」

AD・マスター「どこでもいいです!」

4人それぞれ行きたいところがあったのです。

 

なぜ“イタリアン”なのか?なぜ“居酒屋”なのか?

そこで、なぜそこに行きたいのか?理由を聞き出してみると…(発言の真意は?)

小島「そこにかわいいウェイトレスがいる!」

衛藤「おいしい麦焼酎をたくさん飲みたい!」

入江「最近、胃がもたれているので、さっぱり和食がいい!」

マスター「早く決めて欲しい!」

 

という具合に、いろいろと理由が出てきました。

このように意見をよく聞き出し、それらを整理した上で、

全てを満たす提案をするのが、「合意形成」です。

 

誰もが合意できる方向性を探し出していくということで、

多数決で物事を決めたり、賛成、反対を声高に主張し合うってこととは違います。

それぞれの思いを合わせることで、”新しい形”であったり、”新しい案”を生み出していくということです。

 

ここでは、和食があり、麦焼酎の種類が豊富で、かわいい店員さんがいるお店を

できるだけ早く見つけるってことになりますね。

もちろん、さらにみんなが合意できる方向性を探し出していき、新たなお店の案が出てくる

可能性もあります。

(以上、Public Hearts HP参照)

 

オリンピック・パラリンピック・エンブレム問題

2020年東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムが大々的に発表されたのが、

7月24日のことでした。

 

しかし発表後まもなく、インターネット上で、ベルギーの劇場のロゴと似ていると話題になりました。

劇場側とロゴを製作したベルギーのデザイナーが、地元裁判所に提訴しました。

 

さらに、エンブレムの作者である、佐野研二郎氏の過去のデザインに関しても盗作疑惑が起こります。

明らかに他者のイラストや写真をそのまま使ったものがあると、ネット上で指摘され、

激しく非難されます。

 

そして、騒ぎをさらに大きくしたのが、エンブレムを選んだ組織委員会による会見でした。

選考の過程で、佐野氏の原案に若干類似する作品が見つかったということで、

修正を依頼していることが明らかにされました。

発表されたエンブレムは2度に渡る修正を施したものでした。

 

しかも会見の席で、佐野氏が組織員会に提出したイメージ画像が

個人のブログから無断使用されたことが、ネットの動画中継から発覚します。

 

その後、佐野氏の原案が2年前に開催された展覧会のポスターに似ているとネットで指摘されます。

 

そしてついに、9月1日組織委員会は「国民の理解を得られなくなった」と

エンブレムの取り下げを決定し、白紙撤回となりました。

 

“ニュージーランド”の“国旗”は“国民投票”!

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会は、公式エンブレムを再公募しますが、

選考方法などを参考にしてみてはと、注目されている国があります。

 

ニュージーランドでは、国旗を変えるかどうかの“国民投票”が行われます。

国旗変更の音頭を取るキー首相は、ユニオンジャックに南十字星の国旗について

「イギリスの植民地だった過去の象徴であり、独立後のニュージーランドの

文化や社会を反映していない」と発言し、国民投票に問う意向を打ち出しました。

 

新たな国旗のデザインは、1万点以上も寄せられました。

8月上旬に、この中から40点が選ばれ、さらに現在4点の最終候補まで絞られています。

11月~12月に1回目の国民投票で1点を選び、さらに来年3月に

「現行のまま」か「新国旗」かを問う、2回目の投票を行うそうです。

 

ちなみに再公募される日本のエンブレムは、デザインコンクールなどの受賞歴を問わず、

日本国籍を持つ18歳以上なら誰でも応募ができ、国内在住の外国人や親子での参加もOK!

 

しかし、商標登録しない国旗とは違い、IOC(国際オリンピック委員会)の規定で

公表までに確実に国際商標登録が可能かどうかの調査を済ませることが

条件となっており、1点あたり5千万円程度を見込む調査費用を複数案にかけることに

慎重論もあるようです。

(以上、9月15日 朝日新聞参照)

 

≪ゲストコーナー≫

NPO法人・合意形成マネジメント協会理事長の百武ひろ子(ひゃくたけ ひろこ)さんをお迎えして

お話を伺いました!

 

「合意形成」ってどういうこと?

実は定まった定義というのはなく、人によって捉え方も様々。

百武さんは、その名の通り「多様な『意』を『合』わせて、『形』を『成す』こと」と捉えているそうです。

 

『意』には、心の中の想いだったり、元々の気持ちだったり、大事にしているものなどが含まれていて

人それぞれ違う想いを合わせていきながら、新しい価値を生み出していく過程を

「合意形成」と言うそうです。

 

本当に隠された想いがある!

2人以上の人が集まって話し合って決めると、そこで「合意形成」が行われます。

よって、“家庭”でも“職場”でも、“合意形成”は行われていることになります。

 

“河川改修”や“公園づくり”などの“公共事業の計画づくり”、また自治体や地域の

“マスタープラン”などでも行われています。

 

ある河川改修の話し合いに、途中から参加したおじさんがいました。

その人は、河川を改修して市民が寛げる憩いの場にすることを「止めたほうがいい!」と

強く主張していました。

 

そのおじさんの話に耳を傾けてみると、まず自分の話を聞いてもらえていなかったことが分かりました。

無視されていたんですね。

 

そして、さらにその川で過去に事故があることも分かりました。

おじさんは、過去に事故が起こったことを心配して、反対していたのです。

河川改修によって、人が集まりやすくなることで、子どもなどが事故に遭わないか

心配していたんですね。

 

このように、よく話を聞いてみると、その主張していることの裏には、

ちゃんとした理由、本当に隠された想いがあるのです。

 

まずは意見を掘り起こし、そして共有していく

 「合意形成」では最初に、意見を掘り起こしていくそうです。

「どうして?」「何で?」と聞きながら、なぜそのような発言をするのか、その理由を共有していきます。

よくよく訊ねてみると、「そういうこともあるんだ!」と気付くそうです。

 

例えば、道路を「今のままがいい」という人と、「工事して拡幅して欲しい」という

対立した意見がありました。

しかしよくよく両方の意見を聞いてみると、「今のままのが人が歩きやすい」、

「広げた分、人が歩きやすくなる」と、実は両者とも「歩行者が歩きやすい道路にしたい」という点では

一致していることが分かったのです。

 

ですからこの場合は、道路を中途半端な広さにしてしまうことが、最悪のカタチであることが

両者の意見から浮かび上がってきました。

 

意見を言えない人こそ参加して欲しい!

強い賛成意見、強い反対意見を持った人たちだけでは、ディベートのように

勝ち負けになってしまいます。

 

「合意形成」では、普段意見をあまり強く言えない人にこそ参加して欲しいそうです。

賛成、反対とは違った視点から意見を出したり、決して感情的にならず、合理的に

判断してもらうことで、議論を解決する糸口が見つかったり、いい案が生まれたりするそうです。

 

とはいえ、最後は「多数決」で決めるんじゃないの?

「合意形成」では、一方の意見を切り捨ててしまう、“多数決”による決定をなるべく避けています。

発想としては、最初から「多数決」をしないというスタンスです。

 

多数決は、あくまで“最終手段”であり、多数決という方法自体に対する“合意”がなされて

初めて行います。

 

私たちは、学校の授業などで、民主主義=多数決というような教育をされてきました。

そのため、多数決で物事を決めることが当たり前になってしまっています。

少数意見を言ってもどうせ相手にされないとむなしさを感じてもいるんじゃないでしょうか?

 

みんなが納得するとは?

そこに関わっている人たちが納得できるかどうかが「合意形成」です。

納得にも2つあります。

1つは、合意の内容=結果についての納得。

 

もう1つは“プロセス”に対する納得です。合意形成の過程を誰もが知ることができ、

少数意見にも目を配って議論されて結論に至ったのか、一方的でなかったか

そういう部分でも納得がいくかどうかが決まります。

「合意形成」は、十分に話し合ったかどうかという“プロセス”も大切です!

 

合意形成の視点から考える「オリンピック・エンブレム問題」

 まさに、合意形成の”プロセス”が問題でした。

”プロセス”とは、ストーリーを作るということ。筋道をつくっていく。

しかし、それは1人で作っていくものではありません。脚本家は1人じゃない!

 

デザインそのものへの違和感、盗作疑惑から始まりしたが、ネットで話題になるにつれ、

どのように決まったのかということに、私たち国民の意識が向かいました。

 

コンペというオープンな方法を取りながら、実際は密室で限られた人によって

決められていました。

「なぜあのデザインが選ばれたのか?」「2位や3位の作品はなんだったのか?」

一切、知らされていません。

しかも、審査員も知らないうちに原案が修正されていました。

 

「国民の理解を得る」とは?

そもそも“理解”という言葉は、単に「意味が分かった」ともとれるし、

「意味が分かって共感する」とも捉えることもできます。

 

今回の問題では、説明すれば分かってもらえるという“誤解”がありました。

何となく“上から目線”な感じです。それには、“共感”できません。

 

社会的合意形成の基本は、一にも二にも「透明性」。

審査の過程が国民に開かれていることが必須条件です。

 

賭けるお金の額が違いますが、ニュージーランドの国民投票のように

徹底して国民に開いている姿勢は大いに学ぶべきなのです。

 

合意形成におけるネットの役割

 街づくりで合意形成の場を設けても、参加者が“高齢者”ばかりで

なかなか“現役世代”に来てもらえないそうです。

もっと多様な人たちに参加してもらうためにも、“インターネット”はもっと活用されるべきツールです。

 

しかし、ネットはどうしても“ネガティブ”な意見が多くなりがちです。

そういう状況の中で、“進行役”=“ファシリテーター”の存在は重要になってきます。

ネットの中でも意見の交通整理が必要です。

 

建設的に意見を組み立てていくことを、「コンセンサスビルディング」と言いますが

“ファシリテーター”が話を聞き出し、ときにはテーマを投げかけ、建設的に議論を

積み重ねていくことが大切です。

 

私たちが意識すべきことは?

 “同調圧力”がある現代は、非常に意見を言いにくい時代です。

しかし、「合意形成」の大前提は、“多様な価値観”の存在を認めることです。

意見の対立はあるかもしれないけれど、お互いの“想い”を合わせていくことで磨かれていいモノが出てきます。

違うことを楽しめば、コミュニケ―ションももっと面白くなるので

是非「合意形成」を日々の暮らしで活かして欲しいということでした。

 

≪今週の金のつぶやき≫

実は、百武さんも最初「合意形成」を知ったとき、「うさんくさいなぁ」と思ったそうです。

みんなが納得するのは「難しいのでは?」とも思ったそうです。

しかし、現場で実際に話を聞いていくと、人がどんどん変わっていくのが

手に取るように分かり、面白いと実感したそうです。

 

ということで、これからも“金つぶ”チームの“合意形成”がうまく図れるように、

さっぱりした和食があり、麦焼酎の種類が豊富で、かわいい店員さんがいるお店を

できるだけ早く探したいと思います!

(金つぶ商事・広報部)

投稿者 : kintubu|2015年10月19日