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2018年9月17日

#180 9月14日放送分 アマチュアスポーツと部活

今回のテーマは、

「アマチュアスポートと部活の実態」でした!

 

アマスポーツ界の不祥事

今年は、アマチュアスポーツ界の不祥事が立て続けに表面化しています。

 

3月には“日本レスリング協会”の強化部長による

パワハラ、セクハラ問題が発覚しました。

 

そして5月には、“日本大学”“アメリカンフットボール部”

危険タックル問題が起きて連日メディアを賑わせました。

 

“日本ボクシング連盟”による助成金の流用や、審判の不正疑惑もありました。

 

最近では、東京オリンピックのメダル候補・“体操女子”“宮川紗江”選手への

コーチによる暴力と“体操協会幹部”からのパワハラ、

また今週“女子重量挙げ”でも過去のパワハラ疑惑が報道されました。

 

ということでアマチュアスポーツ界を揺るがす不祥事が次々と起こっています。

 

なぜ今、急激に不祥事が表面化しているのでしょうか?

アマチュアスポーツ界は今、どんな問題を抱えているのでしょうか?

 

ということで今回は、「あなたはどんな部活に入っていましたか?!楽しかったですか?

嫌な思いをしたことありますか?体罰やシゴキをどう思いますか?」

という質問をリスナーに投げかけ、座談会を行いました。

 

スポ根魂の部活動

山崎さんは、吹奏楽部に所属し、トロンボーンを担当していました。

 

小島さんも部活でコルネットを吹いていたそうです。

 

40代、50代の世代は、いわゆる“スポ根マンガ””スポアニメ”に熱中しました。

“巨人の星”“アタックナンバー1”などが流行りました。

 

厳しい練習に耐える選手の根性と、ときには鉄拳制裁も辞さない

監督、コーチの熱血指導で、勝利を目指すストーリーというのが王道でした。

 

そうしたマンガやアニメの影響もあって、その世代は比較的、

部活の先生や先輩からの“体罰”“シゴキ”を暴力とは考えず、

“愛のムチ”として捉えていた傾向があります。

 

小島さんも中学時代の野球部の厳しい練習に耐えたことが自信となり、

その後辛いことがあっても、「あの頃に比べればと楽だ」と思えるようになったそうです。

 

一方、理不尽な体罰やシゴキを受け、苦しい思いをしたという方もいます。

 

また、行き過ぎた指導を「強くなるためなら仕方がない」と、

“パワハラ”“肯定的”に考えてしまう生徒や親も多いようです。

 

≪ゲストコーナー≫

ジャーナリスト島沢優子さんをゲストにお迎えして、

「アマチュアスポーツと部活」についてお話を伺いました。

 

なぜ不祥事が続くのか?

パワハラによる指導に限定した場合、“パワハラに対する人々の認知度の向上”

アマチュアスポーツ界で様々な問題が表面化している要因になっているそうです。

 

“me too#運動”や電通女性社員が“過労”“パワハラ”により

自殺に追い込まれた事件による認知度の高まりとともに、

類似した体験をしている人が自分も当事者だと気づき始め、

スポーツ界のパワハラが身近になりシンパシーが生まれ、世間がより注目するようになりました。

 

例えば、一連の不祥事発覚のきっかけともなった女子レスリングの

“伊調馨選手”のパワハラ告発に対して、世論が伊調さんの側につきました。

 

そうしたこともあって、選手や関係者が声をあげやすい環境を形成していることも大きいようです。

 

パワハラ問題は、今起きたことではなく、隠されていたものが表出しているのです。

 

自己主張がしにくい環境

島沢さんいわく、日本は特に子どもへの人権意識が低い国だそうです。

 

他律的な子どもを育てる環境が、横たわっているそうです。

 

例えば、ヨーロッパの幼稚園児10人に「海に行くか?山に行くか?」と順番に尋ねると、

9人目まで「山」という答えだとしても、10人目の子どもは「海」と答えるそうです。

 

一方、日本の幼稚園児は9人目まで「山」という回答が続くと、

10人目は例え「海に行きたい!」と心の中で思っていても、「山」と答えることが多いそうです。

 

このように、流されやすく、自分の意見を主張できない面があるそうです。

 

誰かが叩かれていると、自分も叩かれても仕方がないといった考えに至り、

本来考えななければならないことではなく、叩かれたことだけが残るそうです。

 

そうした背景もあって、子どもの人権を考えずに、暴力や暴言が

繰り返し行われてきたそうです。

 

トーナメント方式は余裕がない!?

日本の小中高では、ほとんどの競技で“トーナメント方式”

全国大会が行われています。

 

これに対して、“欧米”では主に“リーグ戦方式”を採用しています。

 

リーグ戦は総当たりです。各チームと対戦します。

 

試合で悪い部分があると、それを修正して次の試合に臨むことができます。

 

“スモールステップ”を踏んでいくことが可能です。

 

しかし、トーナメントは負けたら終わってしまうので、例えケガをしていても

実力のある選手は出場するように強いられることがあります。

 

全国大会は、テレビ中継もあり、またOBからの寄付金もたくさん集まります。

ですから、余計にプレッシャーもかかります。

 

このように、子どものスポーツが“勝利至上主義”を生む仕組みに

なってしまっているそうです。

 

ブラジルでは、20年ほど前に一度、サッカーの全国大会で、

トーナメント方式を採用したことがあったそうです。

 

しかし、それを採用している数年間は、“ファンタジスタ”が出ませんでした。

 

目の前の勝利に固執し、遊びや余裕がなくなってしまったのです。

 

そのため、トーナメント方式は止めてしまったそうです。

 

パワハラは、“人権意識”、“仕組み”“教育”のそれぞれ悪い部分が

混ざり合って起こり、なかなかなくならないそうです。

 

体育会のノリはいつから?

第二次世界大戦敗戦後、“ドイツ”“ヒットラー”色を一掃するため、

それを想起させる“笛”や度を過ぎた“整列”などを“学校教育”から排除しました。

 

一方、同じ敗戦国でありながら、日本は軍人が教師として学校に入りこんだため、

“軍隊教育”的なものが逆に強化されたそうです。

 

体育や部活にも浸透していったそうです。

 

その後、“1964年”“東京オリンピック”で日本のメダルラッシュにより、

マンガやドラマでスポーツが題材とされ、“根性論”で勝利を目指して戦うことが

もてはやされました。

 

1970~1980年代には、”校内暴力”が社会問題となり、

学校が荒れ始め、部活は教師が生徒を管理したり、非行を防止するための

ツールとなっていったそうです。

 

1984年には、熱血教師が不良ラグビー部を指導する、

テレビドラマ“スクールウォーズ”が放送され大人気となり、部活信仰が広まっていきます。

 

今も残る悪しき価値観

スポ根や体育会のノリを経験してきた人たちが今、親や指導者になっています。

 

中には、暴力や暴言を肯定する価値観を、子どもに伝えてしまっている

人たちもいるそうです。

 

そのため、そうした価値観が今も残っているそうです。

 

例えば、ある体育系大学のバレー部は、1年生が食堂に行くと、

先輩全員にあいさつをして回ってからでないと、ごはんを食べてはいけないという

ルールがあるそうです。

 

子どもたちは、出会った大人によって、

成長やプロセスが大きく変わってしまいます。

 

強大な権力を持つドン

日本のアマチュアスポーツは、国からの支援金が潤沢ではありません。

 

プロリーグのあるサッカーなどは、スポーツビジネスとして成立していて

利益を生み出せるようになっています。

 

しかし、大半のアマチュアスポーツは財政基盤が脆弱で、

協会の理事などの幹部職のほとんどが無報酬で、

他の仕事を持ちながら、運営を行っているそうです。

 

そのため、個人に頼り切りになってしまいます。

 

そうしたことから、例えばメダリストを育てたなど成果を出した人に

権力が集中しがちになります。

 

日本人は、実績や結果に弱い部分があるそうです。

 

輝かしい実績を持った人たちが、現在何をしているのか?

それは正しいのか?リスペクトできる人物なのか?と

吟味して判断して、組織を形成していくという視点が欠けているため、

巨大な権力を持ったトップが長い期間君臨しているそうです。

 

島沢さんは体育会出身

島沢さんは、バスケットボールで高校時代は、インターハイに出場し、

大学では、補欠ではありましたが全日本大学選手権で優勝したそうです。

 

高校生のときは、3年間厳しい指導で、叩かれることもあって、

バスケットは好きじゃなかったそうです。

 

筑波大学に進学し、再びバスケットボールを始めます。

 

高校時代のように叩かれることもなく、精神的な取り組みの中で

プレーすることができたそうです。

 

しかし、バスケットに対する気持ちが萎えていて、

奮い立つことができなかったそうです。

 

ある思い込み

優秀な成績を収めてきた“スポーツエリート”は、厳しい指導で追い込まれ、

それを跳ね返してプレーしてきています。

 

ですから、彼らの中では、それが勝利の根源であると思いがちになってしまうそうです。

 

パワハラの実態

高校時代に、島沢さんはパワハラを受け、また仲間の被害も目にしています。

 

また大学時代は、他の大学の選手がパワハラに遭っているのを見たそうです。

 

日刊スポーツの記者時代は、代表監督が女子選手に唾をかけているのを

目撃したこともあるそうです。

 

その監督は、「自分の言う通りにしないから」とその行為が

パワハラであることを認めなかったそうです。

 

最近も、日体大の駅伝の監督が、選手への暴力をパワハラと認めないという

ことがありました。

 

このように、自分の行った暴力や暴言、体罰をパワハラと認めないという

指導者がまだいるそうです。

 

部活でパワハラがなくならない

学校自体が“成果主義”のため、日本のスポーツの軸をなす

“勝利至上主義”と親和性が高いそうです。

 

また、保護者も「体罰をされて強くなった」、「人間性を磨けた」と

思っている人が多いそうです。

 

ただ、今の親世代は、経済が右肩上がりで、大家族の中で生活し、

地域の人たちとも交流が盛んで、居場所がたくさんありました。

 

現代の子どもたちとは、全く環境が違います。

 

にもかかわらず、自分たちと同じ教育、同じ指導をしてしまう傾向があります。

 

そのため、暴力の容認が連鎖となり、“ブラック部活”の再生産に繋がっているそうです。

 

子どもたちは、叩かれないように、叱られないようにしようということしか頭にないので、

何をどうすればいいか?何がダメなのか?分からない状態だそうです。

 

女子学生へのセクハラもなくならない?

日本は元々、男尊女卑が強く、女子アスリートや女子生徒への支配が起こりがちだそうです。

 

指導者や先生も男性が多いです。

 

例えば、合宿などで男性顧問の下着を洗わされたり、

体をマッサージさせられるケースなどもあるそうです。

 

本当の愛情とは?

大人は学ぶ必要があります。

 

自分の時代とは環境が違うので、育て方や教え方を変えていかなければ

いけないそうです。

 

「本当の愛情は何か?」と、今一度考えることが大事です。

 

「自分は厳しいコーチです」と言う方がいます。

 

しかし、彼らが言っている“厳しい”というのは、

怒鳴ったり、選手や生徒を追いこむ“強度”のことを言っているに過ぎません。

 

本当の厳しさとは、“主体性”を求めることです。

 

「今のはどう思う?」「何が足りない?」「どうしたいの?」と

本人に考えさせることが重要です。

 

子どもがそれを考え、追及することを見守っていくことが

本当の愛情だそうです。

 

言った通りにやらせるのが、厳しさだと思いがちですが、

それは甘やかせているだけだそうです。

 

全部、世話を焼き、指南しているため、結果子どもは何も考えていません。

 

取材を通して学んだこと

島沢さんは、少年サッカーの指導者・池上正さんを取材し、

子育てについて学んだそうです。

 

池上さんは、元京都サンガの育成部長です。

 

当時、息子さんは小学2年生。

 

自分が指示を出して、きちんとさせるという思いが強かったそうです。

 

指示、命令が多かったそうです。

 

ですが、池上さんとの出会いで、主体性を重んじ、子どもに考えさせるように

自分の考えを変えなきゃいけないと思ったそうです。

 

そして、息子さんの気持ちを尊重するようになったそうです。

 

息子さんも根拠が出てくるので、納得するようになったそうです。

 

部活の顧問の悩みとは?

先生たちは、部活動に“長時間拘束”されています。

試合や大会の数も多いため、土日の休みもないそうです。

 

また少子化で、社会に閉そく感が漂っているために、

“保護者”たちが我が子の部活動に“過熱”気味だそうです。

 

顧問を回避する先生が出てきたために、“教師間で温度差”が出ているそうです。

 

対策として、“外部指導員”という仕組みを取り入れる学校もあるようですが、

まだうまく機能していないそうです。

 

脱根性論に向けて

改善しなければならない点は、“コーチと選手の関係性”です。

 

両者が“対等”でなければなりません。

 

広島の安芸南高校のサッカー部・畑喜美夫監督は、トップダウンではなく、

その反対の“ボトムアップ理論”を実践しています。

 

以前、監督を務めていた広島観音高校で、全国総体優勝という実績があります。

 

全体練習は週3日程度で、あとは全て自主練習だそうです。

 

練習メニューも選手の選抜も、選手に任せているそうです。

 

近大付属高校のバスケット部も、監督が生徒にイニシアチブを与えて、

自分たちでチームを作り上げているそうです。

 

推薦入試がないにも関わらず、インターハイに出場しているそうです。

 

信じなければ信じてもらえない

生徒に任せてしまうと、「自分がなめられてしまう」と言う先生もいます。

 

それで「勝てるのか?」と不安がる先生もいます。

 

しかし、それは自分の選手や生徒を信頼していないことになります。

 

自分が信頼していないのに、選手が信頼してくれるハズがありません。

 

それこそが、対等な関係でなく、選手を下に見ている証拠です。

 

2020年に向けての課題は?

パワハラ、セクハラをなくし、真の選手ファーストは何かを

突き詰めていくことだそうです。

 

まず、選手が楽しく、ハッピーでないことには、観る人たちも楽しくありません。

 

全米オープンテニスで優勝した大阪なおみ選手のような

日本人選手の活躍を期待しましょう!

 

≪今週の金のつぶやき≫

世界“53ヵ国”では、“子どもへの体罰”があらゆる場面が法的に禁止されています。

さらに55の国が、体罰の完全禁止に取り組む姿勢があることを示しているそうです。

 

“子どもに対するあらゆる体罰を終わらせるグローバル・イニシアチブ”のサイトには、

体罰の法的な扱い方を色分けした世界地図が掲載されています。

 

日本は学校での体罰は、“学校教育法第11条”で禁止されていますが、

“家庭”“託児所”“児童養護施設”などでの体罰が禁止されていないので、

地図の分類では、「一定の状況で禁止されている」に留まっています。

 

アメリカのテキサス大学・オースティン校のエリザベス・ガーショフ准教授の

研究によると、叩くことで子どもの振舞いが改善された証拠は見つからず、

逆に体罰が攻撃性、反社会的行動、心の問題などを引き起こすと結論づけています。

(以上、2017年11月15日 ニューズウィーク日本版参照)

 

行き過ぎた指導や理不尽な上下関係を経験することで、中には自分自身の成長や

自信がついたという方もいるかと思います。

 

「あの経験があったからこそ、どんな過酷な状況にも耐えられる」と前向きに、

当時を振り返ることができる方もいるでしょう。

 

しかし、どんな状況であれ、立場の強さを利用した体罰や暴力、

ハラスメントは、許されることではありません。

 

2020年の東京オリンピックに向けて、アマチュアスポーツ界は、

これまでの悪しき慣例から抜け出し、真の選手ファーストへと完全にシフトできるのでしょうか?

 

あなたはどう感じましたか?

 

次回9月21日は、ODYSSEY代表平岩康佑さんをお迎えして、

「実況中継」をテーマにお送りします!

 

聞いてちょーだい!!

投稿者 : kintubu|2018年9月17日