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2020年1月6日

#245 1月3日放送分 量子コンピューター

今回のテーマは、

「量子コンピューターが来る」でした!

 

世界が注目している最新技術!

昨年の10月、アメリカの“Google”社が、スーパーコンピューターでも1万年かかるとされる計算を、

およそ200秒で計算する量子コンピューターを開発しました。

量子コンピューターは、計算の速さがアップするだけではありません。

例えば、画期的な”薬”や、新しい機能を持つ”金属”などの開発、また今や自動車や

情報産業の中心となっている”人工知能”の性能が飛躍的に向上すると期待されています。

こうした事情もあって、各国が開発、研究を競い合っています。

アメリカは、5年間で最大13億ドル(およそ1400億ドル)を投資することを発表。

また中国は、暗号解読に応用できるなど安全保障上、重要と考え、力を入れ始めています。

一方、日本政府は、今年およそ300億円の予算で、研究環境を充実させる計画を立てています。

今回のGoogleの成果は、まだ実用化の段階には至っていないようですが、

同社の研究者はその成果を、「ライト兄弟の初飛行に匹敵する」とコメントしています。
(以上、2019年11月28日 朝日新聞 参照)

ということで今回は、「あなたが人生で最も驚いた、おったまげた技術、道具は何ですか?

普段便利だなぁと感じている技術、道具は何ですか?」という質問をリスナーに投げかけ座談会を行いました。

 

≪ゲストコーナー≫

ITメディアクリエーターニック土屋さんをお迎えし、「量子コンピューター」についてお話を伺いました。

 

今注目されている!

量子コンピューターが実現すると、AIの進化がさらに飛躍すると言われています。

今や様々なシーンで使われているAIですが、それに量子コンピューターの技術が加わることで、

新しい可能性が広がるそうです。

 

現在使われているPC
現在のコンピューターのしくみの原型は、イギリスの数学者の“アラン・チューリング”

第2次世界対戦など暗号解読にも応用された“チューリングマシン”と言われる“計算アルゴリズム”だと言われています。

アルゴリズムとは、物事を効率よく解決するための“手順”のことです。

その手順をそのまま機械に置き換えたものが、私たちが普段使っているコンピューターです。

これを“ノイマン型コンピューター”と呼んでいます。

ノイマン型コンピューターは、命令やデータをひとつひとつ処理していくため、

情報量が多くなるほど演算回路の密度を上げていかないと同じ速度で処理ができなくなってしまいます。

そのためデータが多くなっていくことに対応するために、

1980年頃から、世界中が技術力を発揮して、回路の集積度を限りなく上げ続けてきました。

ところが40年たった今、ついにその集積技術も限界が見えてきたため、

ノイマン型コンピューターでは対応できなくなってきているそうです。

 

量子って何?
量子コンピューターは、“非ノイマン型コンピューター”と呼ばれています。

今のコンピューターが何千年もかかる計算をあっという間にできてしまう技術があります。

量子コンピューターは、エネルギーの最小単位とも言われる“量子”の性質が大きく関わっています。

例えば、一滴の水をどんどん細かくしていくことができたとしたら、

これ以上細かく分けられなくなった最小の状態を“分子”と言います。

水の分子は、水の性質を持った最小の単位です。

この分子を構成するのが“原子”です。

原子とは“電子”“陽子”“中性子”が組み合わさったものです。

この原子を構成する「電子」「陽子」「中性子」などをひとまとめに“量子”と言っています。

量子コンピューターは、我々の世界の物理法則とはまた別の法則で、物事が進んでいるそうです。

 

常識外の世界!?

私たちの世界では、ある瞬間に0と1が同時に起こることはありません。

コインの表と裏が同時にはでません。

しかし量子の世界では、0と1が同時に現れるそうです。

これを“量子の重ね合わせ”と言います。

1つの量子で2通りの状態を同時に表すことができるのです。

2つ量子があれば4通り、4つあれば16通りの状態を一度に表現できます。

こうした量子の性質を使うことで、これまでのコンピューターの何百倍何千倍もスピードがアップするそうです。

 

もう1つの特徴!

“量子のもつれ”という特徴もあります。

これはある量子を操作すると、もつれ状態にある別の量子にも影響が出るという現象です。

これをうまく利用すると、同時にいくつもの操作=つまり計算ができるようになるそうです。

 

どんな量子CPがあるの?

カナダの“D-Wave”社が、2011年に機能を限定した128量子ビットの“量子アニーリング方式”

コンピューターを公開しています。

実は、これを発明したのは、東京工業大学の西森秀稔教授です。

このコンピューターは、現在2000量子ビットにまで改良され、2の2000乗のことが同時に行えるそうです、

量子コンピューターは、これまでのPCで使われていた半導体やメモリーを使うものもあれば、

ビーカーの中で行うものもあるそうです。

NECも、D-Wave社と協業して本格的に量子コンピューター領域に参入しています。

 

実現に必要な状態

量子コンピューターを実現するためには、“超電導”状態が必要となります。

それには、極限まで冷却して、電気抵抗をゼロにする“超低温”“−273度”状態を保たれなければなりません。

 

もう1つの方式!

アニーリング方式とは別に、“量子ゲート型コンピューター”もあります。

これは、2016年に公開され、昨年9月には53量子ビットにまで開発が進んでいます。

“IBMーQ”と呼ばれています。

 

世間に広める!
D-Wave社は“Leap”というサービスを公開しています。

誰でも試すことができる量子コンピューターの“クラウドサービス”です。

量子コンピューターを設置するには1500万ドル(およそ17億円)程度かかりますが、

このクラウドだと1カ月あたり1分間分までなら無料だそうです、

また、1時間あたり2700ドル(およそ30万円)払えばいつでも使えます。

量子コンピューターと全く同じ仕組みや計算をシミュレートできる

“シミュレーターサービス”も多数公開されています。

“blueqat”というプログラムは、オープンなので誰でも登録すれば無料で使えます。

「量子の重ね合わせ」や「量子のもつれ」がプログラミングで体験できるそうです。

 

どんなことができる?できない?

円周率や因数分解などには、効果が期待できるそうです。

一方、総当たりを計算する“巡回セールスマン問題”などは不得手だそうです。

 

AIに活用される!

AI分野への活用は大きな期待がかかっています。

例えば、名人棋士を負かした“アルファ碁”は、その能力を発揮させるために、

およそ1000台のコンピューターをつなぎ合わせて25万ワットもの電力がかかっています。

その運用費用は30億円です。

それが量子コンピューターになると、”超高速”で判断できるため、

設置費用を別に考えると、ほぼタダということになります。

囲碁が打てて、お料理もできて、自動車の運転もできるような

多機能な人工知能の開発も始まっているそうです。

 

様々な分野で活用
“化学”の分野では、新材料や新薬の開発において、分子の並べ方を瞬時に計算することで、

全く新しい素材が見つかると期待されています。

“モビリティ”分野では、大都市の交通規制をリアルタイムで制御できるようになるので、

全部の車が自動運転で動く、交通事故ゼロ社会が実現できるそうです。

“金融”分野でも、世界の金融市場の最適化が同時に可能になるそうです。

 

デメリットは?
銀行などで利用されている“公開鍵暗号”が解けてしまう可能性があるそうです。

そのため、日本はアメリカと連携して“量子暗号”の開発プロジェクトを始めています。

 

私たちはどうすればいいのか?

イスラエルの歴史学者・ユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書“ホモ・デウス”では、

「人類はついに遺伝子工学や人工知能、量子コンピューターなどの武器を得て

“ホモサピエンス”から“ホモ・デウス”=神のヒトになる」と言及しています。

また同氏の著書“21Lesson”では、こうした武器を正しく活用するためには、

21のレッスンが必要だと解き明かしています。

便利なものが生まれれば、必ずそれを悪用するものも現れます。

人類の歴史はその繰り返しです。

それによって、平和にも戦争にもなります。

 

≪今週の金のつぶやき≫

“沖縄科学技術大学院大学”略して“OIST”は、世界最高水準の研究大学を目指し、

政府が2011年に設置した大学で、世界から優秀な若手研究者が集まっています。

シュプリンガー・ネイチャーが発表した「質の高い論文を効率良く生む機関」という

ランキングで、日本では最高の10位に入るなど、成果を上げています。

世界から優秀な人材が集まってくるのは、その豊富な研究資金にあります。

OISTは、国の支援によって、外部資金に頼らずに研究を行っています。

国立大学向けの運営費交付金の減少で、多くの研究者は自力で研究費を獲得するために

奔走する必要がありますが、OISTはそうした心配をせずに研究だけに打ち込むことができます。

同大学のグルース学長はランキングの結果に、「創設間もない大学であっても、適切な条件が揃えば、

世界レベルの研究が可能であることを示している」とコメントしています。

(以上、2019年6月30日 日本経済新聞電子版 参照)

 

科学技術の進歩が目覚ましい今、確かな技術と同時に、それを開発し、使いこなす確かな人材が必要です。

理数系離れと言われて久しい時代ではありますが、国を挙げて人材の育成が急務であることは明白です。

国は、税金の無駄遣いや、不透明な支出をなくし、さらに有意義な先行投資を集中的に行い、

新しい技術を支援していく必要があります。今夜の放送を聞いてあなたはどう感じましたか?

 

次回1月10日は、シーフードレガシー代表花岡和佳男さんをお迎えして、「魚の未来」をテーマにお送りします!

聞いてちょーだい!!

投稿者 : kintubu|2020年1月6日